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今回は、「総合的な探究の時間」を「何をさせればいいんだろう?」「自分の教科だけでも忙しいのにイヤだなぁ」と思っている先生方のお悩みを解決して、気持ちが晴れ晴れするように話していきたいと思います。
序論 「総合的な探究の時間」を「イヤだなぁ」と思う理由
多くの高校で「総合」とか「探究」とかで呼ばれているのが「総合的な探究の時間」です。
以前は「総合的な学習の時間」と言っていたんですが、それがグレードアップしたんですよね。
コレって、実は、負担に感じている先生が多くて、できれば担当したくない授業なんです。
先生方からは、こんな声が聞こえてきます。
- 自分の専門とする授業以外に担当するから、負担になっている。
- 自分の専門外のテーマを探究する生徒を受け持って、何を教えればいいのかわからない。
- グループで活動させると、私語ばかりでまじめに取り組まないので憂鬱になる。
- 話し合いに参加できない生徒への対応が難しい。
では、その悩み、解決しましょう!
本論 「総合的な探究の時間」の悩みを解決する3つのポイント
ポイント① 主役は生徒、先生はサポート役。アドバイザーに徹すること!

(独立行政法人教職員支援機構より引用)
これは、平成30年告示学習指導要領に示されている「総合的な探究の時間」の目標について、教職員支援機構が教員向けに公開しているスライド教材の抜粋です。
中学校までの「総合的な学習の時間」では「問題解決学習」、つまり、教師が課題を与えて生徒がその解決方法を考えて発表するという活動を行ってきました。ところが、「総合的な探究の時間」の目標には、生徒自身が「自己の在り方生き方を考えながら、よりよく課題を発見し解決していくための資質・能力を育成することを目指す」と謳われています。すなわち、これが今回の改訂のポイントで「課題を発見する」のは生徒で「解決していく」のも生徒であるわけです。しかし、それは目標で、生徒に高校入学後3年間で身につけさせるものなので、教師が中心になるのではなく、せいとがその目標を達成するようにサポートしていく必要があるんです。
このように整理すると、教師がリードして生徒に取り組ませるというのは中学校までで、むしろ高校では、生徒の学びを妨げないように、先生はサポート役でアドバイザーに徹して生徒を見守ることが重要だといえます。
ポイント② 生徒とともに考え、ともに楽しみ、ともに学ぶこと!
教科指導であれば、教師は生徒の何倍も専門知識を身につけ、多くの経験をしてきているわけですから、教師が目標を決めて生徒に取り組ませることは当然です。ところが、「総合的な探究の時間」は、生徒が主体的に自由に課題を見つけていくことが最初なので、教師の専門性は関係ありません。したがって、必ずしも教師に生徒に対する優位性があるとは言えません。
たとえば、私は地歴公民が専門ですが、生徒の課題の内容が物理の分野だったなら、「先生」となって指導することはできません。
「専門でないことをどのようにアドバイスするのか?」と言われそうですが…
生徒と同じ目線で考え、楽しんでみてはどうでしょうか。そこには、何の準備もいりません。
生徒とともに授業に参加して、ともに学ぼうとすればよいのです。
ポイント③ 発表できなくてもいいんです!その探究プロセスを重視すること!
私は在職中「総合的な探究の時間」の担当主務者だったこともあり、他校の「探究課題発表会」を視察して、すばらしい研究成果をたくさん見てきました。そのたびに、「すごいなぁ、ウチでもこんな発表会やりたいなぁ」と感心していました。そして、学校に戻って、先生方に、パワポでのスライド作成やポスターセッション、論文作成の手順についての研修会を開いて、協力をお願いしていたものです。(先生方は、さぞ負担に感じていただろうと申し訳なく思います…)
その反省…というわけではありませんが、この記事を読んでいただいている先生方には、「発表できなくてもいいんですよ!」と言いたいです。今回の改訂で「総合的な探究の時間」を含めて、「探究」と名の付く科目がたくさんできました。「探究」のねらいは、生徒が卒業後、大きく変化していく社会の中で「生きる力」を身につけること、自ら課題を見いだし自分の力で解決していく能力を身につけることにあります。したがって、「探究」するプロセスそのものが重要なのであり、結果は重要ではありません。まして、発表することは長期間にわたって「探究」するモチベーションを維持するための手法に過ぎません。だから、発表できなくても全然かまわないし、むしろ、発表をゴールにしてはならないのであって、生涯にわたって「探究」し続けられる人に育てていかなければならないのです。
まとめ 「教える」授業から「ともに学ぶ」授業へ
「総合的な探究の時間」を「イヤだなぁ」と思うのは、あなたがまじめな先生だから。
- 自分の専門とする授業以外に担当するから、負担になっている。 → しっかり準備したいが時間がない💦
- 自分の専門外のテーマを探究する生徒を受け持って、何を教えればいいのかわからない。 → 教えられないと先生じゃないよね💦
- グループで活動させると、私語ばかりでまじめに取り組まないので憂鬱になる。 → 不まじめな生徒は放っておけない💦
- 話し合いに参加できない生徒への対応が難しい。 → 孤立しないようにしなければ💦
どうでしょうか? こんな風に考えていませんか?
もっと楽に考えてみてはどうでしょう?
「自分は教師だから…」という思いを「子どもたちといっしょに学んでいこう!」に変えましょう!
そうすることが、生徒をより成長させることにつながるとは思いませんか?
私が参考にした書籍はいろいろありますが、これが一番良かったので、参考までにご紹介しておきます。

「総合的な探究の時間」だけでなく「探究学習」全般について、その考え方や授業の手法まで図解入りでわかりやすく解説されています。


